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執筆者の写真YOKO ONISHI

本当にしつこいようですが、免疫の話(3)

あらゆる人々の健康と幸せをサポートする鍼灸師、マベリック鍼灸施術室の大西葉子です。



この頃本当にブログのアップも不定期になってしまい反省している次第ですが、毎日時間があるときに、新聞コラムを書いているので、本業が疎かになってしまいがちです。新聞コラムは年間に360本書くことになっているので、クライアント様に施術している時以外はコラムのネタ探しとコンピュータでコラム書きまくりの毎日です。


新型コロナウィルス、毎日テレビやネットニュースで見ない日はありません。やれ、今日の感染者数は何人、クラスターは何件、夜の街、GoToキャンペーン…、だんだんどうでもよくなってきました。


しかし、感染して他人にうつしたり、発熱したり、味覚や嗅覚を失うのは絶対にゴメンだ、と、感染症対策は怠っていません。こう見えて、中々のキレイ好きで、以前から公共交通機関やエレベータのボタンを触るのが苦手で、誰かとイヤフォンをシェアして一緒に音楽を聴くなんて無理!な性格です。


でも、潔癖症の人でも感染症に罹ってしまうことは珍しくありません。


それは、適切な食事、適切な睡眠を心掛けていないと、免疫力が落ちやすくなるからと言う事も大きな理由になると思います。


両親や祖先から脈々と受け継がれてきた遺伝子によって、弱点や強み色々ありますが、それとは別に、私たちは食べて寝て排泄して生命維持をしています。ですので、先天的、つまり遺伝子レベルに関してはどうすることも出来ませんが、後天性の問題、何を食べてどれくらい寝て、ちゃんと適切に老廃物が体が排泄できているか、はある程度自分でコントロールできます。


運動と食事に関して、以前のブログでご紹介しました。今回は「睡眠」に関してお伝えします。


ご承知の方も多いと思いますが、睡眠には二つのパターンがあり、この両方で頭と体に休息がもたらされ、皮膚や怪我、傷ついた筋肉(筋トレなどで一時的に、意図的に壊した細胞)の修復などが行われます。もちろん適切な栄養や水分量があって、の話ですが。



レム睡眠とノンレム睡眠が、その2種類のパターンです。

REM睡眠はRapid Eye Movement、急速眼球運動の略で、睡眠中に眼球が動いているパターンを指します。入眠後90分から100分後位に最初のREM睡眠期がやってくるそうですが、その間短ければ30秒くらいで終了することもあるそうです。何回かREM睡眠期が起こり徐々にREM睡眠期の時間が長くなり、起床時前では大体30分くらいになるそうです。レム睡眠時に体で何が起こっているかと言うと、眼球以外の筋肉は全て弛緩状態で、主に体を休めている時間ですが、脳は活動しており、この時に夢を見ているそうです。


一方、ノンレム睡眠期では睡眠徐波という、ゆっくりな脳波の波形が見られる事からも推察されるように、脳がお休み状態になっています。脳は覚醒時には体全体の20%のエネルギー消費をしますので、脳を休める事は、エネルギー消費も抑えられることになります。


さて、私たちの体がいつも快適な状態でいられるよう、神経伝達物質とホルモンの分泌で常に調整されています。神経伝達物質は電気のように脳や脊髄の指令でパパッと伝わる、その時すぐ必要な調整がなされています。例えば「発汗」。脳の視床下部というところで、体温の上昇が感知されると、アセチルコリンという化学物質が交感神経から放出され、皮膚の受容体に受け入れられて発汗、熱を逃してこもり熱、いわゆる熱中症を防いでいるのです。これはホルモン分泌のようにゆっくり行われていては、命が危険なのですぐに反応するメカニズムとなっています。もう一つのホルモンは、微量が分泌されると、血液にのって、受容体に向かってゆっくり流れていきます。


就寝と共に大量に分泌されるのが「成長ホルモン」です。



この時はノンレム睡眠期、脳が働いていない状態で、視床下部から分泌される「成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)」によって刺激を受けた、下垂体前葉が成長ホルモンを分泌し、主に肝臓に作用して、IGFー1(インシュリン様成長因子)というホルモン分泌を促します。





このホルモンは細胞の増殖を促し、修復や新生を行います。また、睡眠中は食事しないので血糖値は下がります。しかしそのままでは、低血糖になり昏睡状態を招くので、そうならない様、IGF−1が肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解してブドウ糖にする、また脂肪組織から中性脂肪を分解してエネルギー源を作り出しています。起きていても成長ホルモンは分泌されますが、だらだら少量が分泌されるものの、必要な細胞増殖や糖新生が十分にできないため、太りやすくなったり、いざという時に外からの侵入物に対して戦う免疫系の細胞を十分に補充できない、或いはバランスが崩れて、過剰反応(自己免疫疾患など)を起こすようになってしまうこともある様です。


他に、産乳を促し、成長ホルモンと連動しているプロラクチン、目覚めに重要なコルチゾルや甲状腺ホルモン、暗いところにいると分泌されるメラトニンなど、睡眠前後・睡眠中に特に関連して分泌されるホルモンがあります。




この中で、コルチゾルは別名ストレス・ホルモンとも呼ばれている、副腎皮質ホルモンの一種で、起床前に分泌量が上昇します。コルチゾルの特徴は血糖値を上昇させ、血圧も上げるというもので、これによって目覚めた時に活動的になりやすくなります。体内の糖代謝のほか、炎症軽減、免疫抑制、胃酸の分泌、ストレス耐性増加という役目を担っているコルチゾルは、睡眠不足になると分泌が高まり、高血糖、高胃酸分泌によって糖尿病、胃潰瘍につながり、高血圧状態も続き、しかも免疫が下がる、という、ストレスによって体調が崩れるのは、気のせいではない、というのが納得できます。


新型コロナウィルスに罹患した人たち、特に20代〜30代の方々が口を揃えて言っていたのが、「とにかく疲労感がすごくて、やたらと眠かった」で、これには理由があります。また、コロナに罹っていなくても、風邪やインフルエンザで発熱すると、こんなに寝たことないよ、と言うくらい長時間眠れる、という人も多いと思いますが、それは、細菌やウィルスに感染すると、免疫細胞がサイトカインというホルモンをどんどん放出して、眠気を生じさせているのです。これにより、体は安静を保ち回復に向かいます。


一日や二日程度ならまだしも、残業などで長い間睡眠不足を続けていると、体と心は壊れます。もう少し、あともうちょっと、と頑張って、達成したとしても、そのすぐ後の脱力感が交感神経を下げて喉の痛みや発熱を訴える人が多く結果的に病気になってしまう。また慢性的な睡眠不足はやがてうつ病を発症したり、最悪の場合、過労死・自死もあり得るのです。




自分は寝溜めできる、とか睡眠不足に強い、と思っている人、ご用心です。自覚症状がない、ということです。長いこと続いている睡眠不足に疲労感や眠気など、自覚がなくても確実に代謝機能、脳機能にダメージが生じていますので、睡眠を軽んじず、ご自分を大切にしてくださいね。


もし、ご自分の睡眠に不安があったら、鍼灸がお手伝いできます。深い眠りをお約束します。



ぜひ、ご相談ください。







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